吹奏楽コンクールの存在意義をご紹介
コンクールの存在意義をご紹介します。
音楽なんて演奏する人とそれを聴いて楽しむ人さえいれば成立しますから、コンサートだけでも十分なんですよ。にもかかわらず、それに対して順位付けしたり色(金銀銅)で評価するイベントがある・・・これって不思議ですよね。
でも、全日本吹奏楽連盟という法人の理念を鑑みると吹奏楽コンクールもしっかりとした意義のあるものなんです。この記事ではそのあたり、ご紹介します。
●まずは吹奏楽コンクールを構成する要素を整理する
まずは、毎年行われる吹奏楽コンクールを構成する要素を整理します。
一つ目は主催者ですね。全日本吹奏楽コンクールは全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催しています。
二つ目は出演者。中学、高校、大学、職場、一般で吹奏楽をされている方です。演奏を仕事にしている人は出てはいけないというルールがあります。
三つ目はお客さんですね。
コンクールが行われる会場(ホール)を想像してください。運営の吹連に出演者、お客さんが揃っています。あとはなにが足りないでしょうか。
審査員は連盟の中に入れるとして、あとは本番の演奏を記録として残してくれる業者がいませんね。というわけで、
四つ目は業者。ホールにはいませんが、プログラムを刷ってくれる業者もここに入れておきます。本番までに関わるレッスンの先生や、楽器のリペアマンもここに入れておきます。仕事なので。
これで、コンクールは成立するのではないでしょうか。ホールで働いている方や楽器の運搬をお手伝いしてくださるトラックの運転手さんはここでは省いておきます。中高生の保護者もお客さんの中に入れるとして・・・まぁヨシとしましょう。と、いうわけで
①全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社
②出演者(奏者)
③お客さん
④業者
これら四つの立場から吹奏楽コンクールとはなんなのか、その存在意義は?を考えてみます。
①主催者=全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社
まず、全日本吹奏楽連盟(以下、全吹連)にとって吹奏楽コンクールはなんなんだ、という話ですが、全吹連には目的があるんですね。この目的を知らずして吹奏楽コンクールの話をすることはできません。
その目的というのが、↓(原文ママ)
この法人は、吹奏楽および管・打楽器による音楽の普及・向上を図り、もってわが国の芸術文化の発展に寄与することを目的としている
これなんですね。全吹連の使命です。これは全吹連のホームページに載ってます。
→全日本吹奏楽連盟
→定款
はい、つまり全吹連にとって吹奏楽コンクールは、日本の芸術文化を吹奏楽の面から発展させるという目的を達成するために行う事業のひとつってことです。
ここでひとつ疑問が浮かびます。必ずしも吹奏楽「コンクール」である必要はないのではないか?、ということです。これはコンクールそのものが目的ではなく、芸術文化の発展のためのひとつの手段としてコンクールがあるわけですから、もっといい形で、芸術文化の発展に寄与できるのであれば、コンクールではなくてもいいだろう、という話です。
「もっといい形で」というのはやはり、現在の吹奏楽コンクールには疑問を感じたり、滑稽だと思わざるを得ない部分もあるからなのですね。
コンクールの結果に見られる「競争」という側面を利用すれば確かに技術が向上します。これは間違いないでしょう。しかし、「競争」という側面がまた演奏の質を落としたり、本来なら不必要な緊張感を生んでいることも否定はできないと思います。
毎年全国大会に出たり、金賞を獲るバンドの先生は結果発表の時にヒヤヒヤするらしいです。「今年はダメだったらどうしよう・・・」と。でもこれって本来なら必要のない緊張・不安ですよね。
コンクールには吹奏楽の発展に寄与する力があるが、その力(競争という側面)がまた吹奏楽をダメにしている可能性も否定できない、と思います。
もうひとつが朝日新聞社なのですが、これ、調べてもよくわかりませんでした(笑)なぜ、新聞の会社が吹奏楽コンクールの主催者なんだ?というのが。でも毎年課題曲のⅠ番は朝日作曲賞の受賞作品だし、これを決めるにあたっては朝日新聞社のお偉いさんも関わるらしいから、深く関わってるのは確かですね。
ちなみに、夏の高校野球(甲子園で行われるやつ)も朝日新聞社と日本高等学校野球連盟の主催です。全日本吹奏楽コンクールと似てますね。
全日本吹奏楽コンクール実施規定
では次行きましょう。
②出演者(奏者)
出演者にとって吹奏楽コンクールはなにか?と言うと、奏者一人ひとりに委ねられると思います。。
極端なことを言うと、「日本のアマチュア吹奏楽の頂点を決めるビッグイベントだ!」と思う人もいれば「茶番だな。」という人もいるでしょう。
個人が何を思うかは自由ですから、別段取り上げることもなさそうです・・・。とは言うものの、中学、高校の教育現場ではハッキリさせておきたくなるものでしょうか。目標や出場の理由というものは。まあなんでもいいでしょう。
皮肉っぽいかもしれませんが、異常なまでに練習に励むための大義名分という言い方が出来るかもしれませんね。異常なまでの練習量は極一部の団体だとは思いますが・・・。
淡白になっちゃいましたが、中学生から大人と幅も広いですし、出演者にとっての吹奏楽コンクールとは?という問いの答えはそれぞれが納得いくものを持っていればいいと思います。では次!
③お客さん
お客さんにとって、吹奏楽コンクールとは?存在意義は?
最初に挙げた4つの構成要素の中で、お客さんは一番気楽ですから、特に深く追求することはないかな~と最初は思いました。
しかし、吹奏楽コンクールの演奏が「吹奏楽とはどういうものか」を理解していただく際の大半を占める要素になってもいけないな、と考えました。
吹奏楽=コンクール みたいな。これはダメ。
吹奏楽コンクールは吹奏楽の幅広い活動の中のひとつに過ぎないわけですから、確かに真剣に取り組みますし、涙アリドラマありのイベントではありますが、それが全てではないという認識を広めていくのは大切なことです。
とはいうものの、お客さんに考え方や捉え方を強制するのはナンセンスですし、「吹奏楽」の捉え方に幅があるのもまた面白さだと思うので、これはこれでアリなのかもしれませんね。
コンクールに限りませんが、芸術を考えたとき、最も避けたいのがお客さんが離れていくことですよね。吹奏楽を好きな人が聴きに来ますから、まずないでしょうけど、マナーの徹底やモラルはきちんと守られるような策を講じていく必要はありそうです。
ちょっと本筋から外れてしまいました。
④業者
コンクールに関わることで、仕事が発生している人たちの存在、これも大事です。
この人たちにとっての吹奏楽コンクールの存在意義っていうのは一言で
仕事
なんですね。決してボランティアではないです。演奏の録音も録画もプログラムの印刷も楽器のリペアも絶対にミスは許されません。個々によって思い入れはあるでしょうけど、仕事というのは変わりません。
吹奏楽コンクールという事業がこれらの方にどのような利益をもたらしているかは定かではありませんが、利益の基となっていることは確かでしょう。
ですから、吹奏楽コンクールがなくなり、それに代わる事業もない、としたら、仕事が減るというのは間違いないでしょうね。
●おわりに
吹奏楽コンクールがいいか悪いかは置いておくとして、出演者として関わるなら、このような仕組みを理解しておくのもいいと思います。誰が主催でどういう人の協力で成り立っているのか。
よくわからないけど、他人によって用意されたイベントがあるからただ演奏するだけ、ではあまりにも受身だと思いますし、失礼にも感じます。
とは言うものの、楽器を始めたばかりの人は自分のことで精一杯でも仕方ありません。多くの人がそうでしたでしょうし、私もそうでした。実際にこうして考えたのはこの記事を作成することがきっかけでしたから。
どんな思いであれ、精一杯の演奏をホールに響かせて欲しいと思います。
サックスを上達したい方はこちら↓