コンクールに出る理由
2012年度の吹奏楽コンクールは各都道府県大会からの参加が10607団体だったそうです。(情報元は吹奏楽の星
)
Wikipediaによると2010年時点の吹奏楽連盟加盟団体数が14295団体ですので多いですね。
この、多くの人が参加する吹奏楽コンクールですが、金銀銅の賞がついてくる以上、音楽の競い合いという側面をどうしても持ってしまいます。
これについて考える人も少なくないのではないでしょうか。
どういう大義名分(?)を掲げて出場すればいいんだ・・・と考える人もいるかもしれませんね
最終的にたどり着く答えは人それぞれですが、この記事が参考になればと思います。いくつか考えられる出場理由をあげてみますね。
①思い出づくり
「思い出づくり」という言葉からはコンクールに向けて日々研鑽を積むシーンを想像すると随分と安っぽい響きに感じてしまうのですが、ひとつの目標に向けてひたすら努力する経験というのは思い出になりますし、自信にも繋がります。
これは結果がなんであれ、みんなで頑張った、支えあった、乗り越えた、吹ききった、というところにフォーカスするのが大切です。
結果を度外視した演奏って感動できるのが多いんですよね。まぁ奏者本人たちは結果を気にしてるのか、本意は分かりませんが、ただただ楽しそうに演奏されるものは何者にも代え難い魅力があります。
②頂点を目指す!
金銀銅という結果があり、都道府県から支部へ、支部から全国へという道のりがある以上、頂点を目指すのは自然の流れです。
というわけで、全国大会に出たいからコンクールに出るというのも立派な動機です。
ただひとつ注意しておきたいのは、「吹奏楽コンクールで全国大会に出た=吹奏楽の頂点に立った」ではない、ということですよね。そこは勘違いしないように注意が必要です。
たしかに全国大会に出られるのはほんのひと握りの人だけですから、すごいですし評価に値もします。
ただ、あまりに結果を重視しすぎると、こねくり回したような演奏になったり、審査員受けを狙ったあざとい演奏になったりしちゃうんですね。
実際にバンドジャーナルでも全国大会の演奏についてそのような指摘がされたこともありました。
③技術を高めたい
コンクールを技術を高める機会として捉えるという考えです。
コンサートや地域に出向いての演奏とは違い結果が出ますから、やはり張り合いがあるんですよね。
頑張っただけの評価が得られます。でもこれって上記の頂点を目指すと通じるところがありますよね。
結局は上位賞狙いなわけですから。
技術向上の成果を賞で確認しようとしているわけですもんね。
しかし、
コンクールを通して向上した演奏技術を地域の皆様に披露したい!
という動機なら耳障りいいですね。
●おわりに・・・の前に
先程からキーボード打ちながら思ってたんですが、理由なんていらないですよね。これ。あまり理由とか真剣に考え出すとおかしな方にいってしまうような気がします。結果を重視しすぎた演奏のように。
コンクールに出る理由なんて完全に後付けですし、どんな動機であろうが
一生懸命練習してきた演奏を舞台で披露したい
これで十分ですね。現場の人間にとっては。
大人の事情を少しお話すると、コンクールで上位の結果を残すということは、学校の知名度が上がり、ひいては入学希望者が増えるということです。
コンクールでいい実績があるから入学した、という人もいるでしょう。
上手な集団の中で演奏するのはとっても気持ちがいいですし楽しいです。そういうのもアリですね。
●おわりに
私が個人的に大切だなあと思ってる言葉がありまして、それが・・・
多様性
です。
結果を重視した演奏が多い中では結果を度外視した演奏がより引き立ちますし、下手なバンドがあればうまいバンドはより聴き応えがあります。ここには無意識のうちに比較が行われるので、下手なバンドの演奏がうまいバンドの演奏の価値を高めているという事実は否定できないと思います。かつ、別に悪いことでもないと思います。
動機も目標もいろんな(多様な)バンドがあるから、聴き応えがありまた議論を交わすこともできるんですよね。
皆が同じではつまらないです。吹奏楽の編成にはピッコロから打楽器まで多様な役割が組み込まれてるから、いろんなカラーが出せますし、支え合うこともできます。
結果ばかり重視してる団体の演奏には疑問が残るなどの声もありますが、そういうのも「アリ」なのではないかと思います。否定はされようとも吹奏楽の発展や議論を交わす時の議題に一役買っているという考え方もできるでしょう。
そういう多様性を楽しむのも吹奏楽コンクールの醍醐味なのかな、と最近になって思うようになりました。