解説その1 2016年度課題曲Ⅰマーチ「ブルー・スカイ・ドリーム」 Tp

解説その1 2016年度課題曲Ⅰマーチ「ブルー・スカイ・ドリーム」 Tp

やってきました!2016年度吹奏楽コンクール!
課題曲Ⅰマーチ「ブルー・スカイードリーム」のトランペットの解説をします。


この記事では演奏上の注意のおさらいと冒頭部分をやります。
フルスコアを手元に用意してくださいね。

調性と作曲者からの注意

まず調性ですが、トリオまでは『へ長調』です。正直なところ、調性を気にしながら吹いてる人はあまりいないでしょう。中高生ならなおのこと。
トランペットの場合#が一個だけなので特にクセがあるわけではないですし、吹き慣れてもいるでしょう。M8でも#が1つだけのパターンはゴロゴロ出てきますからね。

そしてフルスコアに書かれた作曲者からの演奏上の注意です。課題曲のフルスコアにはすべて楽譜の前のページに作曲者からのあいさつと編成が載っています。フルスコアを誰でも手に入れられます。まだ持ってない人は購入しましょう。

で、演奏上の注意ですね。以下、引用

2016年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲 FULL SCORES p.2より抜粋

どこまでも限りなく広がる青空の彼方へ、ひと夏の夢をのせた皆さんのハーモニーが、高らかに響き渡りますように――。  演奏にあたり、作曲者から2点申し上げます。1つ目は「テンポは終始一貫した設定であること」です。発想記号(Giocoso Cantabile Brillante Animato Grandioso)は曲想のためのもので、速度に関する意図はありません。最後まで推進力を失わないようにしてください。2つ目は「場面ごとに表情をつけること」です。楽譜に書かれていない「デュナーミク」「スタッカート」「テヌート」「アクセント」など、演奏する上で自然に発生する表現を大切にしてください。むしろそれらを奏者に託すため、楽譜には最小限のことしか書いていません。  楽譜から感じられることを、創意工夫をもって、自由に表現をしていただければと思います。

・・・とのことですね。実はこの楽譜、本当にアーティキュレーションがほとんど書かれていないんですよ。初めて見たときはなんとなーく違和感なのかそれとも「いや、これがあるべき姿なのか?」という感覚にとらわれました。

結構指導するときは「アクセントがついてるからこう吹いて」とか「スタッカートはもっと強調して」とか言うんですけど、楽譜に書いてない独自の解釈が求められてるんですね。自分で考えていかに気持ちよく表現できるかがこの曲を攻略するキーだと思います。

というわけで、

・一貫したテンポ設定
・場面ごとの表情

に注意して演奏しましょう。テンポに関してはチューバやホルン/トロンボーンの裏打ち系にかかってますが表情をいかにつけるというところはトランぺッターの腕の見せ所です。普段から様々なアーティキュレーションやダイナミクスを基礎練習に盛り込みいざ曲を演奏するときに鮮やかな空を描けるようにイメージしましょう。

冒頭1~2小節目


トランペットは1st,2nd,3rdすべて最初の音は下のCで裏拍からの16分音符なんですね。これ、なかなかくせ者です。私だったら避けて通りたい・・・!なぜならCは1・3の運指で吹く音、こもりやすいんですね。しかもこの音域で16分音符、音がつぶれやすくもあるんですね。さらにさらに頭3拍は「ツッタタ,タッタタ,タッタタ」のリズム、ずれやすいんですね。

↓赤で○を付けてる音です。
つまり!
・こもりやすい
・つぶれやすい
・ずれやすい
の3拍子揃った魔の一小節からこの曲は幕開けるんです。この作曲者、矢藤学さんトランペットの経験者のはずなのに、なかなか憎いことをしますね。作曲する立場からはそんなこと考えないのかな・・・。

というわけで、ここは死ぬほど練習しましょう。

で、仮に最初の3拍でずれてしまうことがあったとすれば逆に4拍目は確実に合わせましょう。8分音符2つの簡単な楽譜ですからね。 それから音程に関しても注意を払ってください。特に1stはCから始まりますが、目指すところは上のFです。ゴール地点を意識しすぎて最初から音程が上ずらないようにしましょう。

2小節目に関しては出しやすい音域ですし、1小節目を経てきてますから、もう大丈夫でしょう。
しいて言うなら1拍目の16分音符はメンバーでバラバラにならないように、その前の付点8分音符の吹き方や長さをしっかり合わせておきましょう。

2拍目の8分音符はどう吹くの?という問題もありますね。テヌートなのかアクセントなのかスタッカートなのか・・・と、厳密に記号をつけることはありませんが、これもメンバー内でよくイメージを合わせましょう。

冒頭3~4小節目


基本的にここに言えることは1・2小節目と同じです。が、注意してほしいのは1stです。前の音が上のFですから、半拍の休符で下のDを吹くときは音程が上ずらないようにしましょう。
広い音域を柔軟に行き来できる練習を普段からしておきましょう。2オクターブのスケールや半音階、リップスラーの練習がこれに当たります。

4小節目の3拍目の8分音符はしっかり締めましょう。ここが決まればAのアーフタクトを吹くクラリネット・サックスとの雰囲気差によって快活な音楽の始まりを宣言したことになります。

1・3小節目の3rdパートの方は最近トランペットを始めた場合、退屈に感じるかもしれません。1st,2ndに比べると同じ音が続きますからね。でもそれが大事なんです!和音を作るうえでその低音は欠かせません。音は変わらなくても1st,2ndと同じ前向きなテンションで吹いて爽やかに12分間の開幕を告げてください。

●おわりに

調性と作曲者からのあいさつ、冒頭の4小節をざっとまとめてみました。私の中では課題曲マーチのトランペットっていうと2005年の『パクス・ロマーナ』や2009年の『青空と太陽』みたいな「死んでも外したらあかん!」とプレッシャーと闘いながら練習するイメージが強いです。なので、「低音域からのスタートがいいよね」なんて思ってましたが、これはこれで苦労があるものですね。


課題曲の冒頭っていうのは本当に本当に重要でその一瞬でこの後どんな12分間が展開されるかが分かってしまうものです。くどいぐらい時間をかけてしっかりいいものを舞台で披露できるようにしてください。

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