【銅賞脱出戦略 第3回】練習方法を知って本番の姿を描く

【銅賞脱出戦略 第3回】練習方法を知って本番の姿を描く

これまでの銅賞脱出戦略シリーズ、
第1回目は心構えと銅賞の立ち位置を知ろう
第2回目は楽器の状態と今ある知識を見直す

という内容でお送りしました。

心構えや環境を整える、ということをお伝えしてしまうとあとはもう現場の方たちがいかに頑張るか、という問題になるので、伝えられることがだんだん減ってきます。

ですが、これまで主に銅賞をとってきた、というところに注目するとあまりいい練習のやり方はできていないと思います。

というわけで、コンクールの本番までにはどんな練習をしてどういうステップを踏んで行かないといけないのか、というところをご紹介します。
目標までの道筋が見えてないと不安な中で闇雲に練習することになりますので、そうならないように今のあなたに何が必要なのかというところをハッキリしましょう。

これまでの練習を振り返って反省しつつ、新しい練習の道筋を把握してコンクールの舞台で華やかに演奏している姿を思い描けるようにしてください。

上手な演奏にはちゃんとそうなるためのカラクリがあるんですよ(= '艸')ムププ練習するのは曲じゃない!

●ハイレベルな演奏ができる仕組み

全国大会はもちろんですが、下位大会の金賞をとるような団体の演奏でも十分に上手いですよね。 日本のアマチュア吹奏楽はすごいな~って思います。

金賞と銅賞ってどこで差が出ると思いますか?曲の合奏にどれだけ時間をかけたかで決まる? 課題曲を丁寧に作り上げてきたから?自由曲の選曲も重要?

・・・どれもいいところを突いていましたが、大前提を突いていないんですよ。

実力に差が出るのは基礎練習の完成度にあります。コンクール本番のホールでは課題曲/自由曲しかやりませんが、そこに至るまでは奏者全員でチューニングB♭を伸ばしたり、スケールを吹いたり、いろいろやってますよね。

その基礎、つまりベースの部分の差が曲に現れるんです。だから大事なのは基礎練習です。とにかく基礎練習!

これを証明するエピソードがあります。

2013年だったかに放送された笑ってこらえての企画『吹奏楽の旅』で大阪の桐蔭高校が特集されました。
このとき、コンクールの関西大会20日前に自由曲を顧問の梅田先生が変えちゃうんです。
『ジャンニ・スキッキ』から『エニグマ変奏曲』に。

普通に考えたら自由曲を本番20日前に変えるなんてしないですよね。それまで積み上げたものが台無しになってしまいますから。でもその変更した曲で関西大会で見事全国大会出場を決めるんです。

これ、どうして大阪桐蔭高校はこんなことができたかというと、基礎のレベルが異常なまでに高かったからなんですよ。もちろん20日間は必死こいて練習したでしょうけれどそれだけでは説明がつきません。

基礎のレベルが高いと何ができるかというと、どんな曲が来ても短時間で高いクオリティで演奏できるんです。短時間、というか初見の段階でかなりレベルが高いんです。

なので、コンクールで演奏する2曲だけにずっと付きっ切りで練習するのは実はかなり非効率なんです。コンクールなんて夏だけなので、そのあと演奏する曲はまた1から練習することになります。でも、基礎練習に時間をかけておけば課/自由曲以外でもいきなりからそこそこのレベルで吹けるようになります。

だから基礎!基礎!基礎!とにかく基礎練習に重点を置きましょう。

●練習のステップ・手順

課題曲と自由曲の練習が本格的に始まるといろんな壁にぶつかることになると思います。例えば連符が上手く吹けない、ハイトーンが出ないスタミナが持たない、などです。
こういうのもいきなり局所的な練習をするのは非効率的です。今すぐ吹けなくていい、本番の舞台でちゃんと吹けたらいいので遠回りに見えても長い目でみて有効かどうか、という視点で練習法を選択しましょう。

吹けないフレーズに出くわした場合、次の考えを基準に練習を組み立ててください。

それは『今やりたいことよりも簡単なことができるか?』です。

例えば、↓この音を出したい場合、


その前に↓この音は出せるのでしょうか?

そこをまずは確認しましょう。これは音域に限らず、和音でも同じことです。

この↓和音がパートのメンバーで合うのか?

合わなかったらまずは楽器を置いて声で合わせましょう?なぜなら楽器の音よりも声の方が音程をコントロールしやすいからです。

このように今やりたい/できるようになりたいことが上手くいかない場合、これより簡単なことができるかどうか?に注目してみましょう。

3歩手前ならできる、ではもう少しレベルを上げよう、→1歩手前もできる、では楽譜通りにやってみよう、などの手順が実践できます。 これは2拍3連についての説明でも同じことです。

●音楽の作り方・表現の仕方

ここまでの説明で、楽譜通りに吹けないところやメンバー間で合わせられないところはなくしてもらいたいと思います。
基礎練習を充実させて、レベルを調整しつつ曲の練習に当たれば取り組み方を間違わなければおおよそ吹けると思います。

それでもまだ問題として残るのが、音楽的な表現の部分です。いくら楽譜通りに吹けても全体を通して聴いたときに美しい音楽が奏でられているかは別問題です。

ここで役立ててほしいのが全日本吹奏楽連盟が出してる参考音源です。あれは「今年の課題曲はこんなのですよー」というものなので本来は真似をするものではありません。

しかし、これまでずっと銅賞をとってきて演奏するに当たってなんの指針もないならばまずは真似から入る、というのをオススメします。あの音源は音楽的な豊かな表現は避けるように収録されていますから愚直に真似をすることはオススメしませんが、何もわからない場合は文字通り参考にしてみてください。最終的には自分たち独自の音楽ができるように務めましょう。

ここは指揮者の腕も試されるところですね。

●踏んでいくステップ

練習していくに当たっては曲の理解も欠かせません。課題曲に関してはフルスコアを購入して下さい
まずは基礎の充実、それから曲の練習ですが、割合的には基礎8:曲2くらいでもいいと思います。
なぜなら曲というのは基礎練習の集合体ですから。基礎練習が曲の練習になっているんです。やり方には少し工夫がいるかもしれませんがね。

基礎練習・曲練習を通して楽譜通り吹けるようになったらどう表現するか?というところを掘り下げていきましょう。

●おわりに

練習法と表現法の部分をご説明しました。

地味な練習になると思いますが、基礎練習はとっても大事です。基礎練習をおろそかにすると3年間で得られるものや伸び幅も大きく変わります。
まずはブレス(腹式呼吸)、ソルフェージュ、ロングトーンなどなど時間をかけて綿密に組み立ててください。

基礎練習の内容が分からない場合は、なにか教本を買いましょう。
前々:【銅賞脱出戦略 第1回】心構えと銅賞の立ち位置を知ろう
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