"吹奏楽の甲子園"について考える
普門館のことを吹奏楽の甲子園と表現されるのを目にしたことがあります。多くの人は笑ってコラえての吹奏楽の旅の時に見たでしょう。
吹奏楽コンクールに対する疑問を抱えている人は少なくないようです。出場する団体に原則として金銀銅賞のいすれかで評価されるわけですが、
「音楽を競わせる?」
「吹奏楽の頂点を決めるような行為に意味はあるの?」
などの思いを持っている人もいるでしょう。
先に申し上げておきますと、絶対的な答えはありません。吹奏楽に関わるいろんな人がさまざまな考えをもっていて、それぞれがその価値観に基づいて練習に励んだり、コンクールを辞退したりするわけですから、自身の考えを大切にする一方で他人の考え方も尊重する気持ちでいるのがいいかと思います。
記事に入ります。
●「吹奏楽の甲子園」は間違い(?)
"吹奏楽の甲子園"と検索窓にいれて検索しますと、BS朝日の「響け!吹奏楽の甲子園」から始まる全国大会のレポート番組が上位に出てきますし、同じく上位に出てくる普門館のWikipediaのページには「吹奏楽の甲子園」という表記がはっきりあります。
"甲子園"という言葉は"阪神甲子園球場"の略称として用いられることも多く、みなさんご存知のとおり、夏の全国高等学校野球選手権大会が行われる場所ですね。
毎年各都道府県で勝ち上がってきた49の高校がトーナメント形式でしのぎを削り合います。
で、「吹奏楽の甲子園」という表現がなされるのはコンクールが吹奏楽界で夏の高校野球に匹敵する最も大きい規模の大会だからのようです。
そこは納得できますが、そこだけのような気もしてなりません。
"甲子園"という表現ができるのは規模だけであって、音楽はそもそも競い合わせるものでもないし、もちろん戦いでもありません。明確な勝敗など有り得ないのです。
ではなぜこのような言い回しがまかり通るかと言うと、語呂の良さもありますが、吹奏楽コンクールが吹奏楽の頂点を決める場所・イベントと誤解している人が多数いるからではないでしょうか。また、メディアはそういう事情を無視して「ここが吹奏楽の頂点を決めるところだ!」と言い切ったほうが注目も集められます。
全国大会に出てくる学校の演奏は上手いです。そこに否定の余地はありません。しかし、それは「日本一レベルの高い団体」とイコールにはならないでしょう。
冒頭で述べた通り、絶対の正解はありません。私の意見に賛同する人もいれば、「何を言っている!?吹奏楽コンクールこそ頂点を決める大会だ!」と言い切る人もいるかもしれませんね。
●吹奏楽と野球の全国大会を比較してみる
大変不毛なことですが、吹奏楽と野球の全国大会を比較してみます。
ここでは
吹奏楽→全日本吹奏楽コンクール 全国大会 高校の部
野球→全国高等学校野球選手権大会
とします。
まず形式ですが、先程も申しましたとおり野球はトーナメント戦です。
無理やりな解釈ですが、吹奏楽に置き換えると総当たり戦ということになります。
甲子園は49校が出場し、決勝まで行った場合最大6試合します。これを吹奏楽に置き換えた場合、48回演奏することになるんですね~。総当たりですから全ての高校と戦います。
しかし大会の性質上こんなことは起こりません。というか性質とか関係なくこんなこと起こりませんね。
次に出場できる確率は
吹奏楽→0.77% 参照一音入魂!全日本吹奏楽コンクール名曲・名演50
野球→1.17%
だそうです。吹奏楽の方が低いですね。ただ、これは正確な数字ではありません。正確な数値は算出のしようがないそうです。
他にも比較できるところはあると思うのですが、あまりにも不毛なのでこの辺にしておきます。
●おわりに
いろいろ疑問はあるもののやはりコンクールに向けて日々練習に励むのは楽しいですね。
そうした日々は私にとっても良き思い出となって胸にしまってあります。
納得のいく演奏ができるよう、頑張ってください。
ありがとうございました。
~~追記~~2013/03/26
先日、題名のない音楽会で「なんてったって吹奏楽コンクール」という企画をやってたんですね。そのとき、シエナウインドオーケストラの佐渡さんものっけから「吹奏楽の甲子園」って言ってて萎えたんですけど、私の頭が硬すぎたのかもしれませんね。
「頂点を決めるところ」ではなく「ハイレベル団体の集い」程度に捉えたら野球の甲子園に真似て吹奏楽の甲子園という言い方がされるのもアリかな、と思えました。