オーディションをやってみよう!!

オーディションをやってみよう!!

吹奏楽もテレビで取り上げられるようになってからは昔よりだいぶメジャーになったと思います。全国常連校のオーディションの様子も放送されますから、普段オーディションを行わない学校の方にもオーディションがどういうものか、というのは伝わっていると思います。

私も高校の頃は部内でオーディションがありましたが、中学の時は完全に他人事でした。コンクールもオーディションなしで全員出られましたし、「ソロは先輩がやるもの」と暗黙の了解で決まっていましたから、オーディションの「オ」の字もなかったように思います。


ただ、↑のような事情やルールがあってもオーディションをやる意味・価値はあるな、と今になって思います。

その辺を解説いたします。

では、記事に入っていきますね。

●オーディションをやる意味・価値

冒頭でも軽く触れましたが、人数の事情や長年にわたって守られてきたルールからオーディションが必要ない、という学校もたくさんあると思います。

それはそれで結構なことですが、やはり演奏を聴いていただくお客さんのことを考えて一番いい音を聴いていただく、という点は大切にしたいですね。その視点に立つと、自然と「ここのソロは誰が吹くのがふさわしいのか決めよう」という流れになります。

また、そうでなくてもオーディションとは砕いて言うなら蹴落とし合いです。一人しか合格しないと決まっていて5人が受けたら4人は泣きを見ます。皆が「自分が受かりたい」という気持ちを持っていることが前提であったならば、それはまさしく切磋琢磨ですから、やはりやらないよりは練習へのモチベーションや上達のスピードが格段に変わるんですね。


もしも今「ソロは先輩が吹くもの」と決まっている学校があったとしたら、
おそらくそのルールの根本的な理由は「一番上の代の者に【晴れ】させてやる」という内々の配慮からくるものでしょうから、部内で異論がなければ廃止していいかと思います。

※晴れ・・・目立つ

それに鈍感な人なら別ですが、自分よりふさわしい人がいるのに自分が吹くのってちょっと気が引けるものでしょう。

というわけで、オーティションが必要か不要かではなく、練習のモチベーションの向上やより速い上達を目的にオーディションをやってみましょう。

コンクール系の記事にたしか【音楽を比べることそのものに意味はない】と書いた気がしますが、そういう気持ちは一旦横に置いて、検討してみてはいかがでしょう。

●いざ、やるとなったら・・・①

で、「じゃあやってみよう!」となっても「え?でも何を吹くの?」となると思います。まぁソロであればそのフレーズを吹けばいいのですが、コンクールとかアンサンブル等のメンバーを決めるのであれば、曲のフレーズ一つでは不安ということもあると思います。

そういう時は普段練習している基礎メニューから1つか2つ切り取って吹くとしましょう。

あんまり難しい楽譜・フレーズを選んでしまうとそれを吹くのに精一杯で音色だとか、アタックだとか、しまい方、音程、伸び等の本当に聴き分けたいところに集中できなくなります。ですから、普段から吹き慣れててかつ、いろんな要素を判断できるのがいいでしょう。

普通のスケール(音階)でも十分です。

●いざやるとなったら・・・②

で、どうやって行うか、という問題ですが、まぁこれはテレビを見てる人なら想像はつくと思います。


↓こうですね。







あっ間違えました(;´Д`)


↓こうですね。




テキトーな絵ですけど、実際は音楽室の椅子に座って演奏者の方を見えないようにしてやればいいです。

本番前のソロを決めるオーディションだと、椅子に座って~とかパートごとに並んで~といった形式的なことは一切なしに、「全員演奏者の反対を向け!!」の一言だけでオーディションを始められます。

ここまでで、何を吹くか、どんな感じでやるのか、を解説(?)したので、次もう少し踏み込んだ話をしますね

●実際の準備、手順

実際にオーディションをやろうと思ったら3つの役者が必要になります。

①オーディションを受ける人
②評価する人
③司会


①と②は簡単に想像できると思います。で、③の司会は顧問の先生がやれば良いのですが、まぁ先生も忙しい生き物ですからね、「ちょっと会議あるからあそこのソロ、おまえらで決めといてくれ」なんてこともあるでしょう。

一つずつ簡単に説明しますと

①オーディションを受ける人
 1、まず、受ける人同士で順番を決めます。私の頃はオーディションの日の朝にあみだくじで決めていましたが、これがまたなかなか面白い(笑)あみだくじでもその日学校に来た順でもなんでもいいと思います。仲良く決めましょう。
 2、で、これさえ決めておけば、後はオーディションまでは練習するのみです。
 3、司会の人に呼ばれたら演奏する
 4、全員の演奏が終わるまで待って、評価(挙手)を受ける

②評価する人
 1、オーディションまでは特にやることなし。
 2、オーディションの時間になったら所定の場所に集まり、演奏者と反対の方を向いてひたすら聴く。たまにメモを取ったり・・・。

③司会
 1、司会の準備・・・とは言ってもオーディションの司会なんてテンプレ通りでいいので、ここにテンプレを示しておきますね。ここでは得票数が過半数以上の人が合格の場合で書きます。

ーーーーーーーーーここは音楽室ーーーーーーーーー

司会「オーディションを始めます。各パート揃っているか確認してください」

~~各パートリーダーからの返事を待つ~~

司会「全員、演奏者と反対側を向いてください。最初はフルートから行います。フルートの人は準備してください」

~~フルートが立ち上がって各自楽器を持って音出しを始める~~

司会「では、フルートのオーディションを始めます。1番目の人、お願いします」

~~1番目の人演奏~~・・・~~演奏終了~~

司会「2番目の人、お願いします」

~~2番目の人演奏~~・・・~~演奏終了~~

これを繰り返します。

     ・
     ・
     ・

司会「全員終わりましたので、良かったと思う人に手を挙げてください」

司会「1番目の人が良かったと思う人は手を挙げてください」

~~ちらほら手が上がる~~

この間、司会は挙手の数を数える。一人で無理なら誰かに手伝ってもらう。

ちなみに、演奏者もこのとき挙手をばっちり見てる状態。

・・・数え終わって・・・
司会「手を下ろしてください。2番目の人が良かったと思う人は手を挙げてください」

で、これも繰り返す。

最後までいったら・・・

司会「結果を発表します。1番、24票。2番2票。3番13票。4番、0票。5番、21票。6番、55票。・・・。・・・。・・・。」

司会「得票数が過半数を超えた6番目と8番目の人が合格となります。名前の発表をお願いします」

フルートパートリーダー「はい。1番、大野。2番、相葉。3番、櫻井。4番、松本。5番、二宮。6番・・・。・・・。・・・。・・・。」

司会「フルートのオーディションを終わります。次はトロンボーンです。準備してください」

~~これを各パート繰り返す。~~


・・・という流れです。

●オーディションで起こるドラマ

上記みたいに、文章にしてしまうと淡々とした印象を受けてしまいますが、実際は結構熱いというか、なんというか、ドラマがあるんですよね。

私の経験談、ちょっとご紹介しますね!

①返事事件
先ほどのテンプレのとおり、司会者が「1番目の人お願いします」と言って、その番号の人に演奏を促すんですが、当然返事をしてはいけません。誰かわからないようにするのが目的ですからね。・・・にもかかわらず、うっかり「1番目の人、お願いします」「・・・はい!」と返事しちゃった子がいましたね(笑)いやいやいやいや、あかんやん!順番決め直しやん!ってなりましたけど(笑)こんなことないようにしたいですね。・・・ないか(^_^;)

②すすり泣き
演奏が終わり、順番に挙手してもらう様子はその演奏者も見ていたんですが、途中から鼻水をすするような音が後ろから聞こえてくるんですね。まぁ言っちゃうと誰か泣いてるんですよ。挙手の時点で自分が選ばれないことがわかってしまったから。その人が3年生で最後のコンクール出られず・・・なんてこともありましたから・・・なんかこう、胸にグッときちゃいますね。

③聞き取れない
②みたいな誰かが泣く、ということはちょいちょいあったのですが、それがパートリーダーってこともあって、最後にパートリーダーが名前を順に発表していくとき、泣いているもんだから聞き取れないってことがありました。まぁ指摘して言い直してもらいましたけど、パートリーダーでも落ちることがあるくらい切磋琢磨してたのかなぁ・・・なんて今更ながらに思いますね。

パートリーダーなのに上手くなくて・・・と悩んでいる人もたくさんいるみたいですが、やっぱりそこは悩まなくていいと思います。まぁ気持ちは分かりますが、みんなが自分を超えるほどに上達していくのもパートリーダーの力なわけですしね。・・・そういうと、「いや、私がいなくてもみんな上達してる」とか言われそうですけど・・・いいんです、それで(笑)

●テレビでやってた本番直前にソロが決まるってやつ・・・

たまたま某大型匿名掲示板を見ていた時に「本番直前でオーディションとかってほんとにやるもんなの?テレビの演出としか思えないんだけど?」という書き込みがありました。

でもあれは、演出でもなんでもなく実際にやるんですね。私も経験ありますし、一番いい演奏を提供しようと思うと、いいソロを吹く努力を本番直前まで怠るわけにはいきませんから、やはり妥当な形かと思います。


一般に「弱小校」と言われるような学校でもそういうところを取り入れて、少しづつ気持ちの持ち方を変えていったり、上達のきっかけにできるといいですね。

●おわりに

ここまでで、書き忘れたんですが、全パートがオーディションをやるときは、事前にパートリーダーが集まってあみだくじで順番を決めました。そういうのもなんか楽しかったですね。

いろいろと事情やルールを抱えているとは思いますが、オーディションはいいと思います。

試しでも一度でもいいので、是非やってみてください。皆で上達していい演奏ができるといいですね。

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