大人の演奏に興味を示さない気持ち、わかります。
みなさんご存知の通り、大人になっても吹奏楽を続けている人は世間にたくさんいます。プロじゃなくて趣味としてです。
コンクール・アンサンブルには職場・一般の部がありますし、地域の市民吹奏楽団もたまに演奏会を開いています。
存在は知っているが、実際に演奏を聴いたことがあるでしょうか?演奏会は大抵土日に開かれますし、コンクールでは中学/高校の部がある日の中に一緒に職場一般の部をやってしまう都道府県もありますから、聴く機会・チャンスはいくらでもあると思います。
「機会があれば聴くようにしている」「大人の演奏にも興味がある」という人もたくさんいるでしょうが、その一方で「大人の演奏?なんか聴く気しないなぁ・・・」という人もいると思います。
私も中学高校の頃は聴く気しない側の人間でした。
その辺のことについて綴りたいと思います。
●はじめに
私も大人になっちゃいましたから、本音を言うと大人の演奏も率先して聴きにいって欲しいとは思っています。
ですが、この記事ではそういう方向に仕向けるために大人の演奏の魅力を伝えたり、大人の演奏を聴くことで得られるメリットを考えたりはしません。
じゃあ何書くの?と思われたと思いますが、
どうして私はあの頃大人の演奏に興味がなかったんだろうか?また、今まさに現役の中高生で大人の演奏に興味関心を示さない人がいるとしたらその原因はどこにあるんだろう?
ということを考えます。
●「大人」とは何か?
「大人」というものの捉え方って人によってかなり違うと思うんですね。一番身近な大人といえば、お父さんお母さんもしくはそれに代わる保護者です。
これの次に身近な大人が学校の教員ですね。そして、マクドナルドやいろんな喫茶店、百貨店、スーパーで働く大人、通学の電車の中で背広を着て疲れきった顔をしている方々でしょうか。
で、この記事では地域の市民吹奏楽団に絞って話を進めていきますから、上記の中で言うと、お父さんお母さん、学校の先生ではなく、街で見かける大人をどう捉えているか?という点が重要になります。
笑顔で接客されたり、気持ちのよい接客に元気をもらう一方で、スーツを着てチャキッと決めてる割に顔が疲れきっていたり、電車の中で爆睡してるおじさんを見ることはよくあると思います。
やはりこの辺から感じ取るのではないでしょうか。大人というものの印象を。仕事でいい成果を出せて嬉しい場面というのもありますが、仕事の根底にあるのは「生きるため」です。つまり仕事を失うというのは生きる手段を失うのと同義と言っても過言ではありません。
ですから、皆必死なんですね。
この辺の余裕の無さに無意識のうちに大人への嫌悪感を抱くのかもしれません。
こうは書きましたが、もちろん、アフターファイブを楽しんだり、仕事終わりに同僚と飲みに行ってたくさん笑ったりということもあります。ですが、そういうのは中高生の皆様からは見えないので、どうしても仕事してる=大変そう、となるのかもしれません。
●いい印象を持たない人たちによる演奏を聴きたいか
ここまでくると、話は簡単で、大人に対していい印象を持っていなかったら当然その人たちによる演奏を聴きたいとは思えないですよね。
ですから、この辺の事情が大人の演奏を聴く動機をなくさせてしまっているのかな、と思います。
・・・と、まとめてしまうと少し短絡的なので、もう少し違った方面からも考えてみます。
まずみなさん、コンクールで他校の演奏を聴きますよね。単純に自分たちの演奏と同列で比較されるからというのもありますが、そういうことを抜きにしても興味があるものではないでしょうか。
同じ年齢であれば、環境は少々違えど、思春期特有の悩みや事情は理解し合えるものでしょう。
そういう風に考えると、思春期の人間に思春期をとっくに終えた大人の悩みや事情なんて理解しようがないですよね。
となると、大人の演奏というのは「よく知らない人達の演奏」と言い換えることも出来るのかもしれません。
●子どもから大人へ ~~日本の課題~~
ちょっと話がかわりますが、就職活動をしているときに日本は大学から社会に出るにあたって距離がありすぎるという話をきいたことがあります。
大学と社会っていうのは別物なんですが、徐々に慣らしていくこともなくいきなり社会に放り出されるものだから早期に退職してしまうような人が出てくるんだ・・・とそんな話でした。
子どもと大人の間の溝は確かに深いなあと私も感じています。明確になにが・・・というとまた難しいのですが、子どもから大人の本当のところが見えない、というのはよくありますよね。
もちろん子どもは知らなくていい事情とかもありますが、こどもにも伝えるべき情報まで「大人の事情」と蓋をしてしまっていることも現実にあると思います。
その辺を改善していけたらいいと思います。
●結論。
Q、どうしてあの頃私は大人の演奏に興味関心がなかったのか、また今現役の中高生にそのような人がいるとしたらそれはなぜか。
A、演奏する人たち、「大人」のことをよく知らないから興味の持ちようがない。よく知らないどころか悪い印象すら持っている
ということにします。別に開き直ったりとかそういうつもりはないですが、大人の演奏を聴こうとしなかった私に一切の非はなかったな、と感じています。
最近の若者は・・・なんてよく聴きますが、その「最近の若者」が生きる環境を作ったのはそれをいう人たちですし、育てたのもそれを言っている世代です。
いい大人もたくさんいますから、どう感じるかは人それぞれですね。たまたま私はそういう感性がなかったのかもしれません。
まあ、なにはともあれ目の前のクラブ活動を精一杯やりきりたいですね!