禁断の練習法(試行錯誤の重要性)

禁断の練習法(試行錯誤の重要性)

お教えしましょう。禁断の練習法を。

●急激に変化をもたらす!禁断の練習法!

中高生のみなさんは日々さまざまな練習に取り組まれていることと思います。おそらくその練習のほとんどは先輩や先生から教わったものではないでしょうか。


最初は人に教えてもらい、慣れてきたら自分自身のオリジナルの練習法を模索してみるのもとっても楽しいですね。同じ楽器でも、みな心も体も違いますからね、合った練習・好きな練習というのも当然変わってきます。



前置きはこの辺にして、私から禁断の練習法をお教えしましょう。


これ、私が高校生のころは部員みんなで取り組んでいたんですが、コンクール前に外部から指導にきてくれた先生に「あれはよくない」と言われてやめになった練習法です。ちなみにその先生は自分の受け持っている団体を毎年全国大会まで連れて行くような方だったので、説得力も半端なくすぐにやめになったのでした。


だからやってはいけないのです。やらない方がいい練習なんです。


ではなぜ私は教えようとしているのかと言いますと、アマチュア考えながらあの練習は意味があった!と思っているからです。


当時私のクラブではその練習のことを爆音練習と呼んでいました。


どんな練習かといいますと、音色やアタック・音程等は一切気にせずにただひたすら大きな音でロングトーンする、というものです。

一切気にしないんですよ。爆音練習というより騒音練習と言った方が適当かもしれませんね。

ひたすら馬鹿デカイ音で吹き続けます。あらゆる音域でとにかく大きな音で音色・音程・アタック等は一切気にせず吹き続けます。

●この練習のダメなところ

この練習はおそらく、音色を汚くする練習です。だから、きれいな音を出したい!と思っている人がやったら全くの逆効果です。

●この練習の(たぶん)いいところ

①体の限界値を伸ばす(スタミナの最大値を伸ばす)

まずですね、曲中に馬鹿でかい音を出すことってないでしょ。馬鹿でかい音なんて曲では求められないから出す機会がないんです。ではなぜそんな練習をするかというと、どんな状況にも耐えられる体作りをするんです。

曲で求められる最大の音量が100だとしたら120まで出せるようにしておく、という感じです。20の余裕ができますからね。

馬鹿でかい音でやるロングトーンは唇にも肺にもなかなかの負担がかかります。最初はしんどいだけですが、だんだん慣れることでフォルテが続くような場面でもそれに耐えうる体を作ることができます。


②音を大きくする

ただ単純に音を大きくする練習にもなります。これをやったあとにメゾフォルテの大きさで音を出すととっても簡単に(今までより)大きめの音が出ます。きっと唇が慣れるんですね。振動するということに。だから簡単に震えてくれるんです。

ただ音が大きくなるというよりは遠くに飛ぶような音になります。練習中は「荒い汚い音を出すんだ!」ではなく「今は音色やアタックなんてどうだっていい!とにかく遠くまで聴こえるような音を出すんだ!」という気持ちでやりましょう。

ただ大きいだけで遠くまで飛ばない音ってありますからね、しっかりととばすことをイメージしましょう。

●注意点

このような唇にわざわざ負荷をかける練習は初心者にはお勧めしません。アンブシュアが自分の中でしっかりと定着させ、少々変な吹き方をしてもしっかりと元に戻せるようになってからやるようにしてください。

初心者がやるとただ変な癖がついてしまうだけです。

私が現役のころにこの練習法を取り入れるようになったきっかけは「バンド単位で大きな音が出ない!」と悩んでいることでした。コンサートでもコンクールでもそうです。どんなに素晴らしい演奏をできてもお客さんに届かないと意味がありません。

●おわりに

この記事で伝えたいのは実はこの爆音練習なんていうしょうもない練習法ではありません。以下です。

当時、外部の先生に注意されやめることになりましたが、これは試行錯誤のプロセスの一部でしかないんです。

バンド全体で大きな音を出せるようになるために顧問の先生が考えついた練習法が爆音練習。これがダメならまた違う練習法を模索すればいいんです。

今回はバンド全体での話ですが、個人でも理屈は同じです。指が回らない、ハイトーンが出ない、スライドが追い付かないなどさまざまな悩みを抱えながら日々の練習を頑張っていることと思います。


ネットや雑誌を使って情報を集めるのもアリですし、自分オリジナルの練習法を編み出すのもアリです。誰かに「この練習をしなさい」と言われそれを鵜呑みにしてやるよりも、もっとも自分にあった練習法・奏法はどんなのか、一番自分が力を発揮できるのはどんなコンディションの時か等、試行錯誤を重ねて自分オリジナルのもっともいいものを見つけてみてください。


苦労の末自分でみつけた答えが一番心強いですし、なによりの味方です。

最後にひとつアドバイスをさせてください。上記の爆音練習は音量を限界まで出すというものでした。どんな事柄でも限界までやってみないと見えない景色というのはあると思います。これをヒントになにか練習に励んでもらいたいと思います。

うまくなるにはやはりしんどく、地味な練習が必要になってきます。舞台で最高のパフォーマンスをするためにも努力してみてください。



爆音練習、やったらダメですよ。

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