コンクール前にやっておくべきもうひとつの練習
コンクールに向けて、課題曲、自由曲それぞれできる限りの練習をすると思いますが、コンクール当日を迎えるにあたって大切なことを見落としていないでしょうか。
正直、これを怠ると本番までに積み重ねてきた努力がパーになるといっても過言ではありません。
曲の練習に加えて、やっておくべき練習とは・・・
●絶対に怠ってはならないもうひとつの練習
本番の舞台で演奏をする際、練習の全てを出し切るにはなにが必要でしょうか。
そうです。
ベストコンディション
ですね。
せっかく、高いクオリティに曲を仕上げてきても本番で出し切れなければ意味はありません。お客さんが聴くのは本番のたった一回だからです。
というわけで、ベストコンディションをつくる練習というのを考えてみます。
●コンディションを整える
コンディションというのは状態・調子という意味です。
○時間寝ると、体調がイイ!とか○○をすると元気が出る!というのと同じように演奏する際のコンディションを整える方法も人それぞれ、個人差があるんですね。
だから、自分オリジナルのベストコンディションにもっていくシナリオを考えねばなりません。人の真似をしたところで自分にも適用されるかといえばそうではないのです。
順序立てて慎重に行きますね。
①ゴールを知る
②方法を考える
③定着させる
④マル秘
①ゴールを知る
まず最初に、自分にとってのベストコンディションって一体どんな状態だ?というのを知るところから始めましょう。
「ベストコンディション」というのは言わば、ベストコンディションにもっていくシナリオのゴール地点でありまして、これを知らずにアレコレやるのは目的地を決めずに旅に出るようなものです。
では自分にとってのベストコンディションは!?という話ですが、毎日吹いていたら調子のいい日悪い日というのがあるでしょう。とりあえずこの調子のいい日をベストコンディションだと仮決定しちゃいましょう。
仮決定というのは特に楽器を始めたばかりの人は自分の中で調子の良い悪いもハッキリしませんから、とりあえず
「あ、今日なんか音出しやすいなっ♪」
と感じる日がベストコンディションでいいでしょう。
ちなみに私の場合のベストコンディションは、「唇がランナーズハイになる」とか「スイッチが入った状態」と表現しています。これは「もうナンボでもハイトーン吹けまっせー!!」という状態でとにかく気持ちがいいです。
では、この音が出やすい状態をゴール地点としまして、ここに向かってどうやって自分を作っていくかを考えてみましょう。
②方法を知る
これも個人差ありまくりなので一概には言えないのですが、ひとつ言えるのは道筋と限界を理解することです。
道筋とはベストコンディションを作る過程の順路やコースです。
例えばトランペットの場合、楽器を出して最初にハイトーンを吹きまくる人はあまりいないでしょう(玄人になるといますが)。唇が出来上がる前に負荷をかけすぎると台無しになりますもんね。
となると、まずはロングトーン、次にリップスラー、続いてスケール、半音階、そしてタンギング・・・などなど順序立ててやっていくでしょう。
この自分に合ったメニューと順番を考えるのを道筋とします。
もうひとつは限界ですが、これは「これ以上吹いたらヤバイ!もう唇逝っちゃう!」というポイントを知っておくことです。いい状態で吹けていると調子にのってどこまでも吹いちゃいますよね。
そうでなくても、つい頑張りすぎちゃうこと、あると思います。これ以上吹いたらダメ、そこをしっかりと理解しておきましょう。
③定着させる
②でやった自分にあった道筋を定着させていきます。定着させるというと毎日試してみるんですね。自分にフィットしていたら、違和感なく練習できると思いますし、なんか違うな・・・と思ったら少しづつ修正を加えていきましょう。
また、限界なんですが、伸ばしていく努力も大切です。具体的にいいますと、本番や大事な機会を控えていない時に、あえて限界を超えるところまで吹きまくるんですね。
これをやると、
①限界を超えるとどうなるのかが分かり
②限界値を伸ばすことができる
というメリットがあります。
限界限界っていうと大層に聞こえるかもしれませんが、別に限界を超えたからって音がまったくでなくなるわけではないんで、気楽にトライしていただけたらと思います。
④マル秘
ベストコンディションに持っていくのは上記で述べた技術的なことも大事なんですが、その前にもっと前提としてクリアしておかねばならないことがあるんですよね。
それが、
睡眠
です。
経験のある人もいると思いますが、一日にかなり長時間の練習をして、その夜ロクに寝ずに翌日を迎えると全然吹けないんですよ。疲れがとれてなくて。
これを見落としていたらどれだけ優れたシナリオがあっても台無しです。コンクール本番の演奏はベストコンディションでないと台無しになる恐れがあります。ベストコンディションを作るのはしっかりと睡眠がとれていないとできない可能性があります。
睡眠→ベストコンディション→本番のいい演奏!
これを大事にしましょうね。
●おわりに
ベストコンディションベストコンディションとうるさく言いましたが、普段通りに演奏できたならそれで上等だと思います。最もいい状態で吹けるならそれがいいに越したことはありませんが、普段とは違う場所で、知らない人の前で、馴れないタイムスケジュールの中で迎える本番です。
普段学校でやる練習と比べるとかなりイレギュラーな状態ですから、いつも通りの演奏ができたら満足としましょう。
あまりストイックになると気疲れしますから、音楽を楽しめるように、臨んでください。