コンクールで顧問から他校の演奏の感想を書かされる理由

コンクールで顧問から他校の演奏の感想を書かされる理由

コンクールで他校の演奏の感想を紙に書いて賞予想をさせられる学校は全国にそこそこあると思います。

顧問の先生はどうしてそんなことを生徒にさせるのか、考えたことがあるでしょうか?

●他校の演奏をちゃんと聞いてほしい!

コンクールの当日と言いますと、疲れのピークですよね。自分の本番前はまだ気が張ってますからともかく、自分の番が終わるとすっかり気が抜けてしまいます。


そんな状態で客席に座ると必ず襲ってくるのが睡魔ですよね。仕方のないことです。ここまで努力に努力を重ねてきてやっとその緊張から解放されたのですから、睡魔に勝てなくても無理はありません。


先日コンクールを見に行ってきましたが、本番を終えた生徒さん方が客席で他校の演奏中に堂々と眠っていました。不本意だとは思いますが、あまり気持ちのいい光景ではありませんね。



考えてみてください。



コンクールは他校の生徒さんたちがあなたと同じように一生懸命練習してきた成果を生で聴ける貴重な機会でもあるんです。いろいろ学ぶこともあるでしょう。演奏技術はもちろんのこと視覚の面でもなにか発見があるかもしれません。

CDを聴いただけでは分からない気付きが必ずあります。



で!タイトルの「コンクールで顧問から他校の演奏の感想を書かされる理由」に戻りますが、顧問の立場から言うと本番後眠たくなるけど、どうにかしてそれを我慢してでも聴いてほしいわけですね。学びがたくさんですから。


そこで、感想を書かせるという発想が出てくるのです。

「感想を書くために起きてなくちゃ!聴いてなくちゃ!」

となりますからね。



中高生は素直ですので、感想用のプリント一枚でしっかり寝るのを我慢して聴くようになります。


これらを踏まえ、私の思う他校の演奏の感想を書かされる理由は以下の3つ


①睡眠防止

②感想を可視化する

③他校の演奏から学ぶ


こんなとこでしょう。

①睡眠防止

これは先ほど挙げたとおり、②感想を視覚化する、③他校の演奏から学ぶと繋がる部分もありますが、つまるところ寝ないで聴いてほしい!ということです。会場によっては立ち見のお客さんもいたりしますからね。

そういう人からすると、「眠るくらいならその席ゆずりなさいよ!」と思います。

②感想を可視化する

これは意外に重要ではないでしょうか。十何団体も聴くと、代表になるようなバンドはともかく、他のバンドに対してはそのときはなにか思っても、時間が経つと何の印象も残らずに忘れてしまいますよね。

だから、後で各校の感想を読み返せるという効果があります。それに特に印象に残らなかった団体が金賞や代表を獲得した際には自分の感想を書いた紙があった方がいいです。その演奏をどう思ったか確認できますから。


あと、中高生というのはまだまだ若いですから、心の中で思ったことを紙に書きだすという行為は、想いを整理するということにもなります。

③他校の演奏から学ぶ

これ大事です。コンクールの他校の舞台では演奏面以外にも学ぶ・参考にできることがたくさんあります。

Ⅰ打楽器の運搬の様子
Ⅱ席についた管楽器奏者の演奏前の様子
Ⅲセッティング(各パートの配置)
Ⅳ演奏時の姿勢
Ⅴ指揮

などたくさんあります。

Ⅰ打楽器の運搬の様子

舞台袖からどのように打楽器を出してくるのか、ティンパニが雛壇を上がる際はどのように上げているか、どれほどの人員を割いているかなど、参考になるところがあります。またどんな楽器を使っているか、という点も興味深いですね。

Ⅱ席に着いた管楽器奏者の演奏前の様子

これ、大体どこの団体も似たり寄ったりですが、たまに木管奏者も体ごと客席を向いていたり、アナウンスが始まってもゴソゴソ準備をしている団体など様々です。自分が客席から見て、どのような姿勢・様子がしっくりくるか考えてみるのもいいかもしれません。

Ⅲセッティング(各パートの配置)

これは各バンドさまざまですね。ホール練習でいろんな配置を試してみた結果決まったものだと思います。トランペットは雛壇の1段目か2段目か、チューバは雛壇に乗るのか乗らないのか、ホルンのベルはどこを向いているのか、クラリネットの1st2nd3rdはどのような配置か等、団体によって違うところがたくさんあります。それぞれ聴こえ方を聴き比べてみてください。

Ⅳ演奏時の姿勢

これはどこの団体も大差ないですが、たま~に大股開いて演奏するホルン奏者や体全身で演奏する打楽器奏者など普段はみられないものが見られます。

Ⅴ指揮

「指揮は指揮者がみればいいじゃん」と思うかもしれませんが、あなたの学校の指揮者の指揮は吹きやすいですか?いろんな人の指揮で演奏するという経験がないからぶっちゃけ分かんないですよね。だから、他校の指揮もよく見てみてください。客席からではそれが自分にとって吹きやすいかどうかの判断はつきにくいですが、いいと思える指揮があれば自団体の指揮者に言ってみましょう。「●●校の指揮参考にしてみませんか?」と。

でも現場の声は「先生(指揮者)の指揮にケチつけるようなこと言えないよ!」だと思います・・・。

●おわりに

コンクールはいろんな団体の本気の演奏がたくさん聴ける貴重な機会です。コンクールそのものの是非は置いておいて、そういった機会は大切にしましょう。

上手くなるには他校のマネもアリです。いいと思ったところは自分の団体にもどんどん取り入れていきましょう。合わなかったらすぐにやめればいいだけのことです。


他校の演奏の感想を書く意味・効果について述べてきましたが、最後に私の本音も言わせてください。ずばり・・・




あんなもの真面目に書かなくていい!



です。


あなたのバンドがいい演奏できますように。

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